中央協同組合学園校友会

校友会からのお知らせ

政権交代と日本農業

副会長 町田重光

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 8月30日の総選挙に於いて民主党が圧勝し、戦後初の本格的な政権交代が実現しました。今回の総選挙は、前回の小泉構造改革・郵政民営化を争点とした選挙とは大きく異なり、政治のあり方から、生活、子育て、医療、年金と言ったさまざまの政策を各政党が示し、民意を問いました。いわゆるマニフェスト(政権公約)選挙でした。

 圧勝した民主党の農業政策には、「戸別所得補償制度」の創設により、農業を再生し、食料自給率を向上させますとあります。また、畜産・酪農業、漁業に対する所得補償と林業に対する直接支払いの導入を進めますとも書かれています。

 政策の実施はこれからです。しかも、脱官僚・政治主導で政策を立案、調整、決定していくという姿勢ですから、農水省抜きで政府内論議を中心に進められることでしょう。

 マニフェストの策定にあたっては、民主党内で相当の議論を重ね検討がなされたと思われるのでどの政策にもそれなりにしっかりした骨格が出来上がっていることでしょう。

 その間、農協(全中)に意見を求められた経過はないように思えます。しかし、これからは、全中サイドから積極的に、強い関心を持って意見を述べるべきだと思います。「戸別所得補償制度」の創設というのは、そうした制度がないと日本の農業を維持発展させることができないという民主党の考えだからです。「戸別所得補償制度」を土台にして、農業経営を安定したものにしようという政策だからです。

 食料自給率(40%)の向上には、39万ヘクタールの休耕地・耕作放棄地でコメを含め、小麦、大豆、とうもろこし等なんらかの作目を作ることが前提になります。高齢化が進み、後継者がいないという状況も大きな問題です。ここは、農協の出番です。個々の農家では、不可能であったとしても「戸別所得補償制度」を土台にし、農協がしっかりとした支援態勢をとれば解決策は見つかると思います。減反政策を転換し、コメの生産コストを大幅に引き下げ、増産分は、食料援助を求めている開発途上国に輸出するというのも夢物語ではないような気もします。

 我々にも出来ることがいくつかあるかと思います。ひとつは、食生活を見直すことです。自分だけでなく、家族の食生活においてコメの栄養価値を見直し、消費を増やすことです。(かつて1,200万トンあったコメの消費量は、現在では800万トンになっています。)

 また、水田の持つ、ダム機能や多様な生き物の生態系維持機能など自然環境に配慮し、地域でそうしたことに関連する活動があれば、参加することです。そして、今後の農業政策の動きを真剣に見守り、自分たちでも真剣に議論することかと思います。

 作家の井上ひさし氏は、「農家と水田は、公共の財産であり、税金を投じて当然」と言っています。 校友会のみなさんも、ホームページにみなさまの思いや、地元での動きなどどしどし出してください。