中央協同組合学園校友会

校友会からのお知らせ

TPPを考えよう

中央協同組合学園校友会
会長 町田重光

 2月1日、家の光協会から、“TPPを考える-「開国」は日本農業と地域社会を崩壊させる”という本が出されました。著者は、(株)農林中金総合研究所理事研究員の石田信隆氏です。見出しには“1時間でよくわかる”と書かれています。

 校友会の皆さんは、TPPに強い関心をお持ちのことと思います。400円+税=420円で買える62ページの本ですので、お近くの書店でお求めのうえ、お読みいただきたいと思います。

 政府は、2010年11月に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、2011年1月、TPP交渉に関する情報収集を目的に参加各国との協議を開始しました。

 JA全中などのJAグループ、全国農業会議所、全魚連、全森連、生協連等は、2010年11月10日、「TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る全国集会」を開催し、当初予定の3000人を大幅に上回る4000人超が参加したそうです。

 私の住む、東京都東大和市の市議会も2010年12月、TPPに反対する意見書を可決し、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣ほかに送付しました。その要旨には、我が国の農林水産業は、安全・安心な食料を供給するのみでなく、洪水の防止や水源涵養等の多面的機能を有しているが、担い手の減少、価格の低迷など非常に厳しい状況にある。政府は、11月9日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定された。関税撤廃を目指す協定で、幅広い分野での自由化を図ろうとする交渉であり、地方のさらなる疲弊に繋がることが強く懸念される。国民への説明や国民からの意見聴取、国会での審議等がなく、また「食と農林漁業の再生推進本部」が設置されたものの、幅広い国民的議論もないまま、推進された。政府においては、農林水産業への十分な配慮と関係者の理解がないままに、TPPの締結・参加をすることのないよう強く要請すると書かれています。

 石田信隆氏の本でも、第3部「私たちの地域と暮らしはどうなるか」の項で、TPPによる関税の撤廃は、農業に対して破壊的な打撃を与えますが、それだけでなく農業関連産業や地域経済全般にも大きな被害を及ぼします。このため全国の地方自治体等では、議会でのTPP反対決議やTPPに反対する動きが急速に広がっていますと書かれています。

 さらに「国のかたちを変えるTPP」として、現在アメリカ、オーストラリアなど9カ国で行われているTPPへの参加交渉は、その内容の詳細は公表されていませんが、関税の撤廃交渉にとどまらず、投資、サービス、電気通信、金融、政府調達、知的財産、労働、環境など、たいへん幅広い分野を対象に行われています。このような幅広い分野を対象にTPPの合意が行われると、日本のさまざまな分野で「国が変わる」ほどの変化が起こる心配があります。(中略)「TPPに乗り遅れるな」というような地に足のつかない姿勢でTPP交渉に参加することは、このような広い範囲の交渉に安易に妥協してしまい、日本という国のかたちが取り返しのつかないほど変わってしまうおそれがあるのですと述べています。

 この本には、日本国民ひとりひとりが、真剣に考えなければならないことが多々書かれています。私も、日本が貿易による利益拡大を追及する余り、食料の安定確保を危うくすることを恐れるのですが、もう一度日本の国土・農業の持つ多面性・地域社会のありかた等を見つめ直し、目先ばかりにとらわれてTPPに加わるという間違った「開国」をしないよう強く要望します。

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